第1話 「HSP」の連載を始めます

佐々木 正悟

著者:佐々木 正悟

最近、「ハイ・センシティブ・パーソナリティ」(HSP)といった術語が、よく聞かれるようになりました。

私などにしてみれば、

ようやくこういうことが言われるようになった!

という思いです。というのもまさに私自身がこういう人間であって、すでに三十年来、悩んできたテーマだったからです。

思いかえせば、私が「会社勤め」をしようとしなかったのも、「心理学」に興味を抱くあまりなけなしのお金をぜんぶ留学に注ぎ込んでしまったのも、帰国してからしばらく何もせずにひきこもっていたのも、ライフハックや仕事術に熱をあげたあまり「タスクシュート」などにハマってしまうのも、すべては私が「人の顔色ばかりが気になって会社などでは仕事ができない」からだったのでした。

しかし、「自分はHSPかもしれない」というような、他人の機嫌に左右されがちな人ならみんな知っているとおり、なぜ過去の種の話はまともに取り合ってもらえないものだったのです。
たぶん、次のような言葉を耳にしては、「だったら仕事などせず、一人で朽ちた方がまし」と思う人は少なくなかったのではないでしょうか。

  • 「つらいのはみな同じ。もっと心を強くしなければ生きていけない」
  • 「仕事は怒られているうちにできるようになる」
  • 能力がないからそんなことが気になる」
  • 「気にしない強さも仕事力のうち
  • 「メンタルを鍛えて、打たれ強さを身につけよう」

私は、こんなことがまかり通る職場には1秒もいたくはありませんでした。だから、現に、就職活動はいっさいせず、会社勤めもまともにできたためしがなかったわけです。


ごく短い期間、「派遣社員」としてどうしても会社員らしくふるまわなければならないとき、「徹底的なライフハック」でその場を乗り切ろうとしていました。

工夫に次ぐ工夫で、叱られるリスクをとにかく回避し、仕事を1分でも早く終わらせ、なるべく早く帰宅するのです。会社で怒られることなく、会社を脱出するというゲームでした。

しかし、結論から言えば、それでは問題は解決しなかったのです。

理由のひとつは、「それでも怒られることはある」ということでした。そもそも私にはいくらか「発達障害」(ADD)の気味があって、徹底的にライフハックしているつもりでも忘れ物はするし、遅刻もします。そのたびに「気がゆるんできているんじゃないのか?」などと指摘されては、何とも言えないうすきみわるい気分に、沈んでいくのです。

「物忘れの原因は、すべてなにもかもが気のゆるみなのか?」
気をゆるませない具体的な方法は、存在するものなのか?」

私と似たような人であればいまでも、取るべき戦略の確信が抱けず、モヤモヤするのではないでしょうか。

  • 上司の態度が少し横柄なのか?
  • メンタルを鍛えて受け流すべきなのか?
  • 自分の能力が足りないのか?

私自身が悩んだことなのですが、いくつかの要素が絡み合ってしまうのです。
自分のメンタルの弱さが問題なのか、それとも周囲の無神経さの方が修正可能なものなのか。
あるいは、仕事がすっかりうまくいけば発生しない悩みなのか、それとも会社の要求の方が過剰なのか。

現在でも、「レジリエンスを身につける」とか「コミュニケーションスキルこそ大事」とか、「仕事の能力を底上げしよう」とか、いろいろなことがいわれていますが、「繊細さん」の悩みはなくなっていないように見えます。HSPの人は依然として、「できれば会社に行かずに済ませたい」というのが本音ではないでしょうか。

私は自分自身のことでもあるこの問題に決着を付けたいのです。

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ABOUTこの記事の著者

佐々木 正悟

心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。 1973年北海道旭川市生まれ。97年獨協大学卒業後、ドコモサービスで働く。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。2005年に帰国。 帰国後は「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。 著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほかに『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)など。